私が生まれ育った街は、昭和を遠く臨む今日に至ってもなお、相も変わらずスラムと呼ばれ続けております。
昔は冗談のつもりで「スラム出身」などと申しておりましたが、度々起きる事件事故の知らせを聞くたびに、ああ、やはりあの街は本当にスラムだったのだと、つくづく思うのであります。
私の幼なじみの大半は、違法な薬物の使用や売買などに手を染めた結果、逮捕される者、行方不明になる者、さらには人を刺殺した者まで出る有様。
幼なじみの一人は、つい最近まで私の実家で養われていたのですが、家を飛び出してしばらくした後、薬物の売人である別の幼なじみと共謀し、さんざん世話になった私の実家に対して詐欺行為を働くという暴挙をおかしたのです。
しかし詐欺行為などまだまだ可愛いもので、今後、更に大きな事件に関わらないとも限りません。人を傷つけ自分を傷つけ…
大事に至る前にさっさと通報して、逮捕されて牢屋に閉じ込めてしまう事も、彼らにとっての救いになるねんでと、実家の親に告げた次第であります。
まあそんな、ワクワクドキドキ渦巻く我が故郷でありますが、幾店舗かある喫茶店のメシ、これがどれもこれもベラボウにウマかった。
なかでも私が特に気に入っておりましたのが「喫茶パール」の洋食の数々。
甘くない鉄板ナポリタン、一見真っ黒焦げのハンバーグ定食、カニクリームコロッケ定食など、メニューは豊富で味も良し。
カニクリームコロッケなんかは、魚介嫌いの私でもペロリと美味しくいただけるのでありますが、それもそのはず。カニの身など殆ど入っておらず、トウモロコシの味の方が勝っておりますので、魚介、特に甲殻類嫌いの私でも安心の一品なのであります。
どういう習慣なのか、毎週土日の朝食は家族揃って喫茶パールで頂いていたのですが、私が決まって食べていたのが、ホットドッグセット。
普通のホットドッグにスクランブルエッグか目玉焼きのどちらかが添えられているのですが、私はその卵をホットドッグの上に載せて食べるやり方、これが気に入っておりました。
今でも、ホットドッグを口にする度、喫茶パール、舗装が行き届いていない砂利道のスラムを思い出します。
と、いう事で火曜日の昼休憩は、懐かしのホットドッグを作りましたとさ。
焼きそば用に買ったキャベツを早く使い切りたい。家で切って来た。
カレー粉を入れた。カレー粉って焦げやすい。
一旦よける。
カレー粉でスキレットが焦げ付いたので、お湯で軽く濯いできた。ソーセージON。
卵も投入。火力強過ぎ。
普通に。
普通のホットドッグに。味付けはケチャップと粒マスタード。
出来ました「スラムドッグ」目玉焼きが雑すぎたが味は格別。3つ喰って大満足の昼食だった。
食べにくいが、ホットドッグに目玉焼き、ウマい。
さようなら。